「幼保小の架け橋プログラム」という言葉を知っていますか?
この取り組みは、5歳児から小学校1年生までの2年間を「架け橋期」と呼び、通う園や家庭の環境によって差が出ることなく、すべての子どもに質の高い育ちを保障していこうという考え方です。幼稚園・保育園・認定こども園と小学校がそれぞれの立場を越えて一緒にカリキュラムをつくり、子どもの育ちを支えていくことを目指しています。
今年度、大井町町内の幼稚園・保育園・認定こども園、そして小学校の職員が集まり「架け橋プログラム推進委員会」というチームが発足しました。一つの園と一つの小学校だけの関係ではなく、町全体で子どもたちを育てていこうという取り組みです。保育理念や教育の進め方も違いますが、大切にしたいのは、同じ大井町で育つ子どもたちの育ちを、幼児期から小学校へと切れ目なくつないでいくこと。そのために園と学校の垣根を越えてたくさんの話し合いを重ねています。
このような取り組みが進んでいる中で、先日、小学校の教員が当園に「保育体験」に来ていただきました。「こども園の視察や先生同士の話し合い」ではなく、朝の受け入れから、あそび(活動)の時間、給食、午睡前のひとときまで、一日の生活のあらゆる場面を一緒に過ごしていただきました。
園と学校の生活はもちろん違う中で、特に印象的だったのは「小学校の給食とは時間の使い方がこんなにも違うのですね」と。給食の提供時間そのものは決まっていますが、実際にいつ食べ始めるかは、子どもたちが自分で考えて動きます。今やっているあそびの区切りを見通しながら自分のタイミングで席につく日、もちろんみんなで「いただきます」とそろえる日もあります。子どもが自分で見通しを持ち、自分のペースで動ける時間や空間があることに先生方も色々気づきがあった様子でした。
「幼児期でもここまで色々なことができるのですね」
私たちが日々大切にしているのは、決まった正解や決められたルールに子どもを合わせることではなく、一人ひとりの興味があるものや「好き」を大切にすること。とはいえ、なんでも自由にさせるということではありません。あそびや生活の中にもルールがあり、自由の中には責任が伴うということも、子どもたちは日々の経験を通じて少しずつ学んでいます。好きなあそびに没頭する時間、気の合う友だちとぶつかり合いながらわかり合っていく経験、初めてのことに自分からチャレンジしていく気持ち。そうした一つひとつの積み重ねが、就学までに育ってほしい「自分を大切にする力」「人と関わる力」「挑戦する力」につながっていきます。
こうした考えの中で育っている子どもたちの姿を、小学校の先生が実際に見て、感じていただけたことはとても有意義な時間であったなと思いました。
先生との会話の中で、もう一つ嬉しい話を伺いました。
卒園した子どもが小学校で当番活動をしていた際に、友だちが見過ごしてしまいそうな、ほんの小さなことに気づき、工夫して取り組んでいる姿があったそうです。その子の幼児期に「好きなことや得意とすること」が小学校での姿につながっていることを伺うことができて、とても嬉しくなりました。
この架け橋プログラムでの小学校との関わりは、子どもたちが4月に入学するときに、小学校の先生にとって「初めて会う子」ではなくなります。幼児期にどんなふうに過ごし、何が好きで、何を頑張って、何を楽しんでいたか。そのことを知っている先生が教室で待っていてくれる。それは子どもにとっても、私たち保育者にとっても、とても心強いことだと思います。
子どもたちの育ちは、幼児期で区切られるものでも、小学校から新しく始まるものでもありません。
一人の子どもの育ちを、園から小学校へ一方通行でバトンタッチするのではなく、「こどもをまんなか」にして園と小学校の双方から関わり合っていく、そんなつながりをこれからも大切にしていきたいと思います。

・写真掲載のご許可をいただいております。

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