今回、私はこどもの未来につながる働き方研究機構のキャリアアップ研修「乳児保育」を受講しました。
私は現在、2歳児・満3歳児クラスを受け持っています。今回の研修で「乳児保育」について学ばせていただいたことで、「乳児保育」への理解がさらに深まったとともに、視野が広がったことで園として、私自身としてできることは何かを考え、これまで、そしてこれからの保育を見直す良い機会となりました。
今回の研修では、保育の質の向上とそれに伴う環境設定の重要性、子ども一人ひとりと向き合うための記録・計画及び評価の大切さを学びました。
研修を受けたことで「十分に養護が行き届いた環境」において、非認知能力・社会情動的なスキルの基本が0~2歳の段階で育つということや、近年の実証的研究から「遊びのための環境設定の質の高さ」は、1~2歳の問題行動の少なさに寄与するということがわかりました。長時間の保育を経験する子どもたちにとって、保育所の環境設定の質がとても重要だということを学びました。これらを踏まえて、園としてできることは何かを私たち保育者一人ひとりがしっかり考え、意識していくことが必要なのだと改めて感じました。
子ども一人ひとりと向き合うためには、“〇歳児だからこうあるべき、これができなければならない”といった考え方ではなく、子ども一人ひとりの特性やその子自身の発達の課題を捉えることが重要だということを学びました。子どもの行動や発見、努力や工夫、感動等を温かく受け止めて認めたり、共感したり、励ましたりして心を通わせること(応答的関わり)や、子どもの展開する活動に対して必要な助言・指示・承認・共感・励まし等(対話的関わり)を通して心を通わせることで、子どもたちが安心して過ごすことができるようにしていきます。
また、「発達の課題」とは、その時期の多くの子どもが示す発達の姿に合わせて、大人が設定する課題とは異なる概念であり、“子ども一人ひとりの発達の姿を保育者が捉える中で見いだされる、その子どもが今、興味や関心を持って行っている活動の中で実現しようとしていること”である、ということを学びました。その子どもが何をしたいのか、どのような発達が見られているのか、一緒に遊んだり過ごしたりしながら、その子に必要な視点で環境を設定していくことが重要になります。課題の振り返りとして“できた・できない、良い・悪い”ではなく、それまでの過程を大切にしながら、その子どもの“よさや可能性”を見いだすことを重要視すべきだと考えていきます。
今回の研修で特に感じたのは、「遊びのための環境設定の質の高さ」、「計画・記録及び評価」の重要性です。私のクラスの子どもたちが友だちと一緒に遊ぶことの楽しさや、イメージを持って遊ぶことの楽しさに気付き始めたこと、友だちとの会話のやりとりが増えたことがきっかけで、1回目と2回目の研修の間に、もともとあったままごとスペースを広げて室内の半分を大きな家に見立て、ままごと遊びができる環境を作りました。すると子どもたちは、自分で考えて寝室を作り、風呂敷を掛けて布団にしたり、寝かしつけを始めたりしました。鍵に見立てたブロックをドアにさす姿や、パーテーションを物干し竿に見立てて洗濯物を干す姿もあり、ままごと遊びを通して普段は見ることがなかった様々な姿を見せてくれました。子どもの育ちや興味・関心を踏まえて環境を変えたことで、研修で学んだことと同様に、子ども自身が考えて、選んで、意欲的に遊ぶ姿がありました。自分で選ぶことができる環境であることが、子どもの興味・関心、目的意識に繋がり、遊びや他者との関わりが展開されていくのだと実感しました。生活の動線があることや、もともとの室内の構造により、遊びのための環境設定を行う上で難しい部分もありますが、それらをどのように活かすことができるか、どのような場面なら取り入れることができるかを考え、子どもの興味・関心に沿った環境設定を行っていきたいと感じました。
また、記録・計画及び評価の部分でも、“できた・できない、良い・悪い”や“〇歳だからこうあるべき”といった考え方ではなく、それまでの過程や子どもの意欲、どのような意識を持って取り組もうとしているのかを注視していくことが重要だと改めて感じました。他者と比べるのではなく、その子ども自身のよさや可能性に目を向け、見いだすことを重視していきます。そして、子どもの興味・関心、目的意識を捉えるための手段として記録をとりながら、子どもの育ちの理解や保育者側の保育の振り返りを行うことで、保育の質の向上に役立てていきたいと思います。
私は幼稚園勤務が長かったこともあり、これまで10年以上幼児クラスの担任をしていました。今年度になって初めて乳児クラスの担任を受け持つことになり、当初は乳児と幼児の発達の違いや、生活のリズムの違い等を様々な場面で実感し、不安に思うことや悩むこともありました。しかし、それらを受け入れて一緒に考えたり悩んだりしてくれる仲間がいること、新しい世界に挑戦させていただける環境であること、「乳児保育」を改めて学ぶ機会をいただけたことが自信に繋がり、日々楽しみながら過ごすことができています。
今回学んだ「乳児保育」をどのように活かすことができるか、私自身ができること、園としてできることは何かをしっかり考えながら、乳児クラス1年目として私も子どもたちと一緒に成長していきたいと思います。